第1回 砂の海
連載「アラビア半島の印象」
文・写真:郷らむなほみ(オンタリオ州・カナダ)
石油、沙漠、らくだ……。リヤドに赴任前、真っ先に思い浮かぶアラビア半島のイメージといったら、こんなものだった。そしてそれは、限りなく当たっている。どこまでも続く沙漠に、いきなり現れる油田のやぐら。ゆっくりと歩を進めるらくだたちは、白、焦げ茶、そしてらくだ色。ここは沙漠と油田の国、サウジアラビアなのだ。
果てしない荒れ野では、満天の星空と無音の状態が体験できる。まるで異次元空間にいるかのように、怖いほどの静寂な世界。水もない、緑もない、命さえも危険にさらすような沙漠への旅。それが仕事に疲れた都会生活の癒しになるというのだから、全く人間というのは不思議なものだ。しかし、そんな荒涼とした土地に、今も遊牧生活を送る人々、ベドウィンが暮らしている。見渡せば地平線しかないような場所で、らくだや羊を相手に暮らす孤独はどれほどのものだろうか。
そんな遊牧民生活を疑似経験できるオフロードの道行き、キャンプを設営する頃の沙漠は夕陽に照らされ、一日で最も美しい。ふと気づけば、見渡す限りの砂、砂、砂の沙漠。私たちはまるで、大海に漕ぎ出した小舟のようだ。もし、このままここに留まることになったら、一体誰がどうやって助けに来てくれるというのだろう。
夕陽を背にしてみたら、長い長い自分の影がいた。
≪郷らむなほみ(ごうはむなおみ)/プロフィール≫
フリーランスライター。2003年〜2007年夏までの4年8ヶ月、夫の赴任に帯同してサウジアラビアの首都リヤドに在住。オフロードに夢中になった夫に引きずられ、アラビア半島の沙漠、遺跡、秘境巡りをした。2007年9月、夫の帰任でカナダへ住まいを移す。世界で最も住みやすいと言われる国で、ただ今適応障害中。アラビア半島体験的ブログ
文・写真:郷らむなほみ(オンタリオ州・カナダ)
石油、沙漠、らくだ……。リヤドに赴任前、真っ先に思い浮かぶアラビア半島のイメージといったら、こんなものだった。そしてそれは、限りなく当たっている。どこまでも続く沙漠に、いきなり現れる油田のやぐら。ゆっくりと歩を進めるらくだたちは、白、焦げ茶、そしてらくだ色。ここは沙漠と油田の国、サウジアラビアなのだ。
果てしない荒れ野では、満天の星空と無音の状態が体験できる。まるで異次元空間にいるかのように、怖いほどの静寂な世界。水もない、緑もない、命さえも危険にさらすような沙漠への旅。それが仕事に疲れた都会生活の癒しになるというのだから、全く人間というのは不思議なものだ。しかし、そんな荒涼とした土地に、今も遊牧生活を送る人々、ベドウィンが暮らしている。見渡せば地平線しかないような場所で、らくだや羊を相手に暮らす孤独はどれほどのものだろうか。
そんな遊牧民生活を疑似経験できるオフロードの道行き、キャンプを設営する頃の沙漠は夕陽に照らされ、一日で最も美しい。ふと気づけば、見渡す限りの砂、砂、砂の沙漠。私たちはまるで、大海に漕ぎ出した小舟のようだ。もし、このままここに留まることになったら、一体誰がどうやって助けに来てくれるというのだろう。
夕陽を背にしてみたら、長い長い自分の影がいた。
≪郷らむなほみ(ごうはむなおみ)/プロフィール≫
フリーランスライター。2003年〜2007年夏までの4年8ヶ月、夫の赴任に帯同してサウジアラビアの首都リヤドに在住。オフロードに夢中になった夫に引きずられ、アラビア半島の沙漠、遺跡、秘境巡りをした。2007年9月、夫の帰任でカナダへ住まいを移す。世界で最も住みやすいと言われる国で、ただ今適応障害中。アラビア半島体験的ブログ