地球丸フォトエッセイ

「地球はとっても丸い」プロジェクトのメンバーがお届けする、世界各地からのフォトエッセイです。
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第3回 チーパーパオ −中国・マカオ− 地元で人気のB級グルメ
連載『旅する胃袋』
文・写真:長晃枝(日本・東京)
豬扒包・チーパーパオ
 マカオは食の宝庫である。もちろん、B級グルメもおいしいものが目白押し。中でも特にオススメなのが、マカオならではの味、チーパーパオだ。

 私がはじめてチーパーパオに出会ったのは、5〜6年前のこと。ひとりでふらりと入った食堂で、メニューの中に見つけたのが、「猪」「包」という字が並ぶこの料理だった。字面から、勝手に中華まんの皮に豚の角煮をはさんだようなものを想像してオーダーしたのだが、果たして私の目の前に出てきたのは……こんがり焼いたローストポークをソフトフランスのようなパンにはさんだだけのものだった。

 「やられた!」と思った。ここは中華圏でありながら、ヨーロッパ色も濃い、マカオなんだ、とあらためて実感した。しかし、こう来たかぁとしみじみ思いながら、ガブリとひと口……お、おいしい! あまり期待していなかったせいもあるのだろうが、予想外のおいしさだった。

 その後、気をつけてみるとチーパーパオはマカオ名物らしく、町中の茶餐廳(チャーチャンティン=広東語 注1)の入り口には、「豬扒包」の字が躍るのぼり旗や垂れ幕がけっこう目につく。どこもうちが本家だ、老舗だ、オリジナルだ、と言わんばかりのアピール合戦。いくつか食べ比べてみたが、いずれもそれなりにおいしいので、どれを選ぶかは、ある程度、食べる側の好みの問題だろう。

 とはいえ、やはり評判の店というのはどこにもある。

 写真はマカオでも一番人気との呼び声高い、大利來記咖啡室(タイレイロイゲイガーフェーサッ=広東語)のもの。店はマカオの中心地からははずれたタイパ島にある飾り気のないローカルな茶餐廳だが、このチーパーパオができあがる15:00ちょっと前になると、どこからともなく人々が集まってきて、あっという間に行列ができる。

 テイクアウトする人はもちろんだが、店で食べる人もここに並ばなければこの逸品にはありつけない。列に並ぶのなんて、好きでも得意でもない人々が、マナーよく順番を待つのだから、人気のほどがうかがえる。

 おいしさの秘密は、なんとこの時代に、薪をくべるオーブンを使った焼きたてパンと、秘伝のタレに漬け込んで、たっぷりの油で揚げ焼きにした、パンから大幅にはみ出したローストポーク。マカオに行く機会があったら、ぜひ長〜い橋をわたってタイパ島まで足を延ばしてほしい。きっと後悔はしないはずだから!

注1:香港、マカオによくある、軽食も揃う食堂兼喫茶店

≪長晃枝(ちょうあきえ)/プロフィール≫
東京在住。アジアを中心に、旅モノと食べモノをメインテーマに飛び回る日々。忘年会シーズンを控え、何も予定のない日は質素な食生活を……と心がけるも、おやつの誘惑にだけは勝てない毎日。
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