地球丸フォトエッセイ

「地球はとっても丸い」プロジェクトのメンバーがお届けする、世界各地からのフォトエッセイです。
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第8回:Cream tea クリームティー −イギリスー
連載『旅する胃袋』
文・写真:長晃枝(日本・東京)
Cream tea クリームティー
 タイトルを読んで「なんだ、今回は食べ物じゃなくてお茶の話か」と思われたみなさん、どうぞご安心を。クリームティーとは、クリームたっぷりの紅茶のことではなく、イギリスなどに古くから伝わる喫茶習慣のひとつ。遅めの午後に小腹を満たす、お茶とお菓子のことで、一般的には、たっぷりのポットティーとスコーンのセットをさす。

 イギリスのティータイムといえば、三段プレートに小さなサンドイッチやケーキが色とりどりに盛られた豪華なセットをイメージする人も多いだろう。しかし、イギリス人とて、みんながみんな、毎日そんなティータイムを過ごしているわけではない。とはいえ、夕飯のスタートが遅めのこの国では、午後のティータイムは欠かせない。そこで、このクリームティーを楽しむというわけだ。

 日本のおやつタイム、3時よりちょっと遅め、だいたい夕方の4時頃が一般的なクリームティーの時間。紅茶は、できればストレートでも楽しめるダージリンやディンブラなどすっきり系を選ぶとよいとされる。なぜなら、スコーンに添えるクロテッドクリーム(Clotted cream)がかなりヘビーだから。さらには、焼きたてのスコーンそのものや、クリームとともに欠かせないジャムの味わいを楽しむためとする説もある。ジャムは好みにもよるが、スタンダードなのはストロベリージャム。この組み合わせは、まさに絶妙の一語に尽きる。

 クロテッドクリームとは、高脂肪のミルクを弱火で煮詰め、一晩おいて表面に固まった脂肪を集めたもの。畜産が盛んなデボン州やコーンウォール州の名産のため、デボンシャークリーム(Devonshire Cream)、コーニッシュクリーム(Cornish Cream)などとも呼ばれる。表面は黄色く、クラストと呼ばれるざらつきのある膜で覆われており、その下にほんのり黄色いやわらかいクリーム層がある。60%程度とされる脂肪分も、またその味わいも、バターと生クリームの中間にあたり、ホイップドバターのような食感。スコーンには欠かせない名脇役である。

 そして、これは私のまったく個人的な見解だが、スコーンはおいしすぎてはいけない……と思う。甘味は小麦粉本来の甘味程度で、ややボソッとしていて、クロテッドクリームとジャムが加わって初めて完成される、アンサンブルのひとつのパートでなくては。ずいぶんといろいろなスコーンを食べ比べたが、東京で手に入る最近のスコーンは贅沢な材料を惜しみなく使っているのか、やけにリッチでしっとりやわらかかったりする。単体ではそれを「おいしい」というのだろうが、どうもピンとこない。

 はたして、ロンドンではイメージ通りの、上下にきれいにパカっと割れるボソッとしたスコーンに、日本ではなかなか手が出ない価格の本場もののクロテッドクリームをたっぷり、そしていちごジャムもしっかりのせて、思う存分その組み合わせの妙を堪能。ポロポロ崩れるスコーンの屑をこぼしながら「あ〜、シアワセ!」と心から感じられる午後のひとときを楽しんだのであった。

≪長晃枝(ちょうあきえ)/プロフィール≫
東京在住。アジアを中心に、旅モノと食べモノをメインテーマに飛び回る日々。この夏は、念願かなってアジア脱出! かつてはうまいものなしの悪評高かったロンドンでも、最近はけっこうおいしいものが食べられるようになったと噂には聞いていたけれど、たしかに久しぶりに訪れたロンドンでは予想を上回るおいしい旅が楽しめてよかった!

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